2022/8/26

2023/01/06

旅行業の営業開始までに準備が必要な事項を解説(登録票・取扱料金表・旅行業約款・旅行業務取扱管理者証・外務員証など)

この記事の監修
時村 公之

行政書士つなぐ法務事務所 代表(特定行政書士/国内旅行業務取扱管理者)

時村 公之

1973年1月生まれ/広島県出身
旅行業・旅館業に特化した、中国・四国地方随一の観光法務専門の行政書士。
株式会社や個人事業主はもちろんのこと、観光協会やツーリズム機構などの一般社団法人の旅行業登録も手掛ける。
支援先企業も中国・四国地方を中心に、北陸・東海・関西・九州方面と、幅広いエリアで旅行業登録に関する支援を行っている。

旅行業登録が完了して、営業保証金を供託(または弁済業務保証金を納付)すれば、いよいよ営業開始!と思われる方も多いのですが、これだけでは営業を始めることはできません。そこで旅行業登録を専門で取り扱う行政書士が、旅行業登録後に必要な準備について丁寧に解説します。

この記事を読めば、旅行業登録後から営業を始めるまでの間に準備しておかなければならないものや準備の仕方が分かりますので、是非参考にして下さい。

1.旅行業登録だけでは営業できない!?

旅行業は旅行業登録が終われば、直ちに営業が始められるわけではありません。

もちろん旅行業登録を行うことは大前提なのですが、営業を始める際には以下のものを準備しておかなければいけません。

名称 備考
標識(登録票) 営業所に掲示
料金表 営業所に掲示
旅行業約款 営業所に掲示、または閲覧できるよう備えおく
旅行業務取扱管理者証 選任した旅行業務取扱管理者に携帯させる
外務員証 営業所以外の場所で旅行業務を行うものに携帯させる
旅程管理業務を行う主任者証 選任した主任旅程管理者に携帯させる

※行政書士つなぐ法務事務所にて作成

これらの準備物は、それぞれに旅行業法旅行業法施行規則、通達などで記載事項や様式などが定められているので、定められた通りのものを作成する必要があります。

それでは、ひとつずつ詳しく見て行きましょう。

2.標識(登録票)

標識とは、旅行業者や旅行業者代理業者が、どのような登録をしているのかを、旅行者が判別できるようにするためものです。標識は、登録票とも呼ばれています。

旅行業法第12条の9では、「旅行業者や旅行業者代理業者は、営業所において国土交通省令で定める様式の標識を、公衆に見やすいように掲示しなければならない」としていて、営業所に標識を掲示することを義務付けています。

旅行業を始める際は、この標識を作成し、営業所で公衆から見えやすい場所に掲示しておかなければなりません。

2-1.標識の種類

標識は、「旅行業者か旅行業者代理業者か」「海外旅行を扱うか否か」などの違いに応じて、以下の4種類の様式が用意されています(旅行業法施行規則第31条)。

様式 登録の種類 業務範囲 標識の地の色
12号様式 旅行業 海外旅行・国内旅行
13号様式 旅行業 国内旅行のみ
14号様式 旅行業者代理業 海外旅行・国内旅行
15号様式 旅行業者代理業 国内旅行のみ

例えば、第2種旅行業登録を行った営業所で、受注型企画旅行などで海外旅行を取り扱う場合は、様式は12号様式となります。一方で、同じ第2種旅行業登録であっても国内旅行のみを取り扱う場合は、13号様式で標識を作成します。

2-2.標識の記載事項

標識に記載する内容は、以下の表の通りになります。

記載事項 備考
登録番号 旅行業・旅行業者代理業ともに記載
登録年月日 旅行業・旅行業者代理業ともに記載
有効期間 旅行業のみ記載
所属旅行業者登録番号および氏名または名称 旅行業者代理業のみ記載
氏名または名称 旅行業・旅行業者代理業ともに記載
営業所の名称 旅行業・旅行業者代理業ともに記載
旅行業取扱管理者の氏名 旅行業・旅行業者代理業ともに記載
受託取扱企画旅行 取扱いが無い場合は省略

それでは、参考に12号様式(旅行業用/業務範囲:海外旅行・国内旅行)見てみましょう。

この表の右側にある空欄部分に、上記の表にある記載事項を記載します。

2-3.登録票の様式

様式は、日本旅行業協会(JATA)の様式ダウンロードページから無料でダウンロードできますので、自社で作成する場合は、こちらの様式を使用すると良いでしょう。

JATAの様式ダウンロードページへ

3.料金表

料金表について、旅行業法第12条第1項では「旅行業者は、事業の開始前に、収受する旅行業務の取扱いの料金(企画旅行に係るものを除く。)を定め、これをその営業所において旅行者に見やすいように掲示しなければならない。」と定められています。

また、旅行業者代理業者についても「その営業所において、所属旅行業者が第一項の規定により定めた料金を旅行者に見やすいように掲示しなければならない(旅行業法第12条第3項)。」と定められています。

このように、旅行業者や旅行業者代理業者は、営業を始める前に取扱い料金が定め、営業所内で旅行者が見えやすい場所に掲示することが、義務付けられています。ちなみに、料金を変更する場合も、変更前に料金表を作成して掲示しておく必要があります。

3-1.料金表の内容

料金表には、手配旅行や渡航手続きの代行、旅行相談などにかかる報酬額(旅行代金)を掲示します。企画旅行については、パンフレット等で提示する旅行代金の中に報酬額も含まれていることが一般的ですので、料金表への掲示の必要はありません。

3-2.料金の決め方

料金の価額については、「契約の種類及び内容に応じて定率、定額その他の方法により定められ、旅行者にとって明確であることとする(旅行業法施行規則第21条)」と定められているだけで、料金の上限や下限は特に設けられていません。

ですから取扱料金の価額は、旅行業者が自由に定めることができます。

3-3.料金表の様式

料金表の様式については、旅行業法施行要領に「料金を掲示する際の表の様式は、第4号様式の例によるものとする(第十_1_3)。」と記載されていて、参考となる様式(第4号様式)を例示しています。

この第4号様式は、観光庁のホームページからダウンロードできます。

旅行業法における各種様式(観光庁HP)

なお、この第4号様式は、あくまでも参考ですので、様式をカスタマイズして、オリジナルの表を作成することも出来ます。

ちなみに私のお勧めは、JATAが無料で公開している「旅行業務取扱料金表」です。JATAの様式ですと、料金表のサイズがA3で1枚に収まるように作られているので、印刷して額などに入れて掲示することができるので便利です。

JATAの料金表も、JATAの様式ダウンロードページから無料でダウンロードできます。

JATAの様式ダウンロードページへ

4.旅行業約款

旅行業者は、旅行業約款をその営業所において、旅行者に見やすいように掲示し、又は旅行者が閲覧することができるように備えおかなければいけません(旅行業法第12条の2第3項)。

旅行業者代理業者の場合は、所属旅行会社の旅行業約款を旅行者に見やすいように掲示し、又は旅行者が閲覧することができるように備えおかなければなりません。

また、受託契約により他社の企画旅行を代理販売する旅行業者は、自社の旅行業約款と併せて、委託旅行業者の定めた旅行業約款も同様に掲示または備えおく必要があります(旅行業法第12条の2第3項)。

「掲示し、または備えおく」とありますので、掲示は必須ではありません。掲示が難しい場合は、旅行者が求めた際にすぐに閲覧できるよう営業所内に備えおいておけば大丈夫です。

5.旅行業務取扱管理者証

旅行業務取扱管理者は、旅行者からの請求があったときは、国土交通省令で定める様式による証明書(旅行業務取扱管理者証)を提示しなければいけません(旅行業法第12条の5の2)。

旅行業務取扱管理者証は、旅行業者または旅行業者代理業者が各自で発行します。

5-1.旅行業務取扱管理者証の様式

旅行業務取扱管理者証について、旅行業法施行規則第27条の7では「第10号様式とする」と定められています。

この第10号様式も、JATAの様式ダウンロードページから無料でダウンロードできます。

JATAの様式ダウンロードページへ

なお、作成の際には「縦3cm×横2.5cm」の証明写真が必要です。

6.外務員証

旅行業者や旅行業者代理業者の役員や使用人(従業員)のうち、営業所以外の場所(客先等)で旅行業務の取引を行う者のことを「外務員」と言います(旅行業法第12条の6第1項)。

外務員は、国土交通省令で定める様式による証明書(外務員証)を携帯しなければ、外務員としての業務をすることはできません。

また、外務員が旅行業者と旅行業務の取引を行うときは、必ず外務員証を提示しなければならないことになっています(旅行業法第12条の6第1項)。

ちなみに旅行業務取扱管理者についても、営業所外で旅行業務の取引を行う場合は外務員に該当しますので、外務員証が必要になります。

この外務員証は、旅行業者または旅行業者代理業者が各自で発行します。

6-1.外務員証の様式

外務員証について、旅行業法施行規則第28条では「第11号様式とする」と定められています。

この第11号様式も、JATAの様式ダウンロードページから無料でダウンロードできます。

JATAの様式ダウンロードページへ

なお、外務員証の作成の際には「縦3cm×横2.5cm」の証明写真が必要です。

7.旅程管理業務を行う主任者証

企画旅行(募集型・受注型)で旅行者に同行する添乗員(旅程管理業務を行う者)のうち、主任の者については、①登録研修期間が実施する旅程管理研修の課程を修了している、②実務経験を有している、という資格要件があります。

ちなみに添乗員が1人の場合は、その添乗員が主任の者となりますので、添乗員は上記の資格要件を満たしていなければいけません。

自社で旅程管理主任者を選任する場合は、選任する旅程管理主任者に「旅程管理業務を行う主任者証」を携帯させなければならず、主任者は請求があった場合は、旅行者等に提示しなければいけません。

旅程管理業務を行う主任者証は、旅行業者が各自で発行します。

7-1.旅程管理業務を行う主任者証の様式

旅程管理業務を行う主任者証の様式は、通達「旅程管理業務を行う主任者証の発行について(平成18年11月16日付け国総観事第96号)」で定められています。

この通達で定められている様式も、JATAの様式ダウンロードページから無料でダウンロードできます。

JATAの様式ダウンロードページへ

なお、旅程管理業務を行う主任者証の作成の際には「縦3cm×横2.5cm」の証明写真が必要です。

8.まとめ

旅行業登録をしてから営業を開始するまでに準備をしておかなければならないものについて解説しましたが、いかがだったでしょうか?

登録票や旅行業務取扱管理者証、外務員証などは旅行業協会に依頼すれば有料で作成してくれます。また、旅行業登録を専門に行っている行政書士事務所などでも作成をお願いできるところもありますので、ご自身で作成が難しいようであれば、作成を依頼するのも良いでしょう。

登録票や料金表を掲示していなかった場合や旅行業約款を掲示せず備えておいていなかった、旅行業務取扱管理者証や外務員証を携帯させていなかったといった場合は、30万円以下の罰金が科せられますので、必ず準備をしておきましょう。

もし、旅行業登録の手続がお知りになりたい方は、以下の記事をご覧ください。

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