2022/3/27

2024/04/27

旅行業の種類や業務範囲を詳しく解説。あなたに必要な登録区分が分かります。

この記事の監修
時村 公之

行政書士つなぐ法務事務所 代表(特定行政書士/国内旅行業務取扱管理者)

時村 公之

1973年1月生まれ/広島県出身
旅行業・旅館業に特化した、中国・四国地方随一の観光法務専門の行政書士。
株式会社や個人事業主はもちろんのこと、観光協会やツーリズム機構などの一般社団法人の旅行業登録も手掛ける。
支援先企業も中国・四国地方を中心に、北陸・東海・関西・九州方面と、幅広いエリアで旅行業登録に関する支援を行っている。

旅行業には6つの登録区分があるのをご存じでしょうか?「どんなタイプの旅行商品を取り扱うのか」「どれくらいの範囲で旅行をするのか」によって、必要な登録区分が変わります。そこで、旅行業登録を専門で取り扱う行政書士が、旅行業登録の「登録区分」について丁寧に解説します。

この記事を読めば、登録区分ごとに取り扱える旅行業務の種類や範囲が分かりますので、是非参考にして下さい。

1.旅行業の6つの登録区分と業務範囲に関する基礎知識

冒頭でもふれましたが、旅行業登録には6つの登録区分あります。区分の詳細については、旅行業法(以下、法)や旅行業法施行規則(以下、法施行規則)等に定められているのですが、これらをわかりやすくまとめたものが、以下の図になります。

旅行業等の区分 業務範囲
企画旅行 手配旅行
募集型 受注型
海外 国内
旅行業者 第1種
第2種 ×
第3種 ×
地域限定 ×
旅行業者代理業 旅行業者から委託された業務
旅行サービス手配業 旅行業者のために行う一定の行為

△:営業所の所在する市町村の区域と隣接市町村の区域および観光庁長官の定める区域
※観光庁HP「(図1)旅行業等の登録区分」をもとに作成

この図を見ると、旅行業登録の区分によって、扱える旅行業務の範囲や内容が違うことが分かると思います。

ただ、募集型企画旅行と受注型企画旅行の違いや、手配旅行とはどういったものなのかが分からない方もいらっしゃると思うので、まずはそれぞれの用語について確認していきましょう。

1-1.募集型企画旅行

募集型企画旅行とは、あらかじめ旅行業者が、旅先や日程、交通手段、宿泊先、これらに係る費用などをまとめた旅行計画を作成して、パンフレットやインターネットなどを通じて旅行者を募集する旅行のことをいいます。

旅行会社の店頭にある「ハワイ7日間の旅、○万円~」のようなパッケージツアーは募集型企画旅行の最たる例ですが、交通と宿泊手配のみが基本セットになって販売されているフリープラン型も募集型企画旅行に含まれます。

1-2.受注型企画旅行

受注型企画旅行とは、旅行業者が旅行者からの依頼を受けて、旅先や日程、交通手段、宿泊先、これらに係る費用などをまとめた旅行計画を作成・提案しておこなう旅行のことをいいます。

募集型と異なり、旅行者の要望を反映したオーダーメイド型の旅行商品で、修学旅行や社員旅行などの団体旅行は受注型企画旅行の代表例です。近年はこの受注型企画旅行の有望な市場としてMICE(国際会議・展示会・見本市などの総称)と呼ばれるビジネスイベントが注目されています。

1-3.手配旅行

手配旅行とは、企画旅行のように旅行会社が旅行計画を作成するのではなく、単に宿泊施設や乗車券等の手配をおこなうサービスのことをいいます。

従来は、旅行会社の店頭で宿泊施設やJR・飛行機などを予約して、宿泊クーポンやチケットを受け取るというスタイルが主流でしたが、近年ではOTA(オンライン・トラベル・エージェント)と呼ばれる旅行会社が運営するWebサイトで宿泊施設を予約して、Web上で精算を行うというスタイルも増えています。

2.登録区分ごとの業務範囲

つづいて、登録区分ごとに取り扱える業務の範囲について解説します。

2-1.第1種旅行業

第1種旅行業は、海外・国内の募集型企画旅行、受注型企画旅行、手配旅行の全てが取り扱えます。また、他の旅行業者が販売する募集型企画旅行の代売も行えます。まさにオールマイティな登録区分です(法施行規則第1条の3第1項)。

特に海外を目的地とする募集型企画旅行を取り扱えるのは、第1種旅行業だけです。

一方で、第1種旅行業は取り扱える業務範囲が広いことから、財産要件である基準資産額や営業保証金(または弁済業務保証金分担金)の額が登録区分の中で一番高額となっていて、登録要件も一番厳しいものとなっています。

登録要件
営業保証金
(弁済業務保証金分担金)
基準資産額 旅行業務取扱管理者の選任
第1種旅行業 7,000万円
(1,400万円)
3,000万円 必要

なお、営業保証金(または弁済業務保証金分担金)に記載されている金額は、前年の旅行業務における年間の取扱金額が8億円未満の場合のもので、これ以降、取引額に応じて加算されます。

旅行業務取扱管理者は、海外旅行を取り扱うのであれば総合旅行業務取扱管理者試験の合格者から選任します(法第11条の2第6項)。

2-2.第2種旅行業

第2種旅行業は、海外の募集型企画旅行以外(国内の募集型企画旅行、受注型企画旅行、手配旅行)の全ての旅行が取り扱えます。

また、受注型企画旅行や手配旅行であれば、その目的地が海外であっても取り扱うことができます。

登録要件は、第1種旅行業と比べて取り扱える業務範囲が狭いことから、基準資産額や営業保証金(または弁済業務保証金分担金)は、第1種旅行業より低い金額が設定されています。

登録要件
営業保証金
(弁済業務保証金分担金)
基準資産額 旅行業務取扱管理者の選任
第2種旅行業 1,100万円
(220万円)
700万円 必要

なお、営業保証金(または弁済業務保証金分担金)に記載されている金額は、前年の旅行業務における年間の取扱金額が7億円未満の場合のもので、これ以降、取引額に応じて加算されます。

旅行業務取扱管理者は、海外の受注型企画旅行や手配旅行を扱う場合は総合旅行業務取扱管理者試験、国内旅行のみを取り扱うのであれば総合または国内旅行業務取扱管理者試験の合格者から選任します(法第11条の2第6項)。

2-3.第3種旅行業

第3種旅行業は、国内の募集型企画旅行のうち営業所の所在する市町村の区域と隣接市町村の区域および観光庁長官が定める区域(以下、隣接市町村等)のみを取り扱うことができます。受注型企画旅行、手配旅行は、第2種旅行業と同様に海外も含めて全ての地域が取り扱えます(法施行規則第1条の3第3項)。

ここで、隣接市町村等について、簡単に解説します。

隣接市町村等は、以下の3つのエリアで構成されます。

①自らの営業所の存する市町村の区域

②①に隣接する市町村の区域

③観光庁長官の定める区域

まず、①と②を図で表すと、以下のようになります。

ご覧の通り、営業所のおかれている市町村とそこに隣接している市町村が、旅行業務を実施できる範囲になります。

次に、③の観光庁長官の定める区域は、「旅行業法施行規則第一条の三第三号の規定に基づき観光庁長官が定める区域」という告示で定められていて、大きく3つの区域が指定されています。

こちらも、図で解説します。

区域1:本土と一般定期航路で結ばれる離島

区域2:半島地域

区域3:地域の交通・観光の実態を踏まえた特例

区域1と区域2は、海を挟んだ半島や離島のうち、直通で結ばれる一般定期航路のある地域については、営業所のある市町村と隣接していなくても旅行業務を実施できる範囲に含めることができます。

区域3は、駅・空港・港湾・バスターミナル等の交通拠点と営業所のある市町村および隣接市町村が結ばれていれば、交通拠点のある市町村の区域内(以下、拠点区域)も旅行業務を実施できる範囲に含めることができます。

これまで、営業所のある市町村までのJRや飛行機などの運送手段は、旅行者が自ら手配しなければいけませんでしたが、平成30年に拠点区域も旅行業務の実施区域に含まれたことで、旅行の発地から旅行業者の側で手配できるようになりました。

以上のように、第3種旅行業の募集型企画旅行は、①②③のエリアで執り行うことができます。

特に区域3が追加されたことで、着地型旅行の集客がしやすくなり、第3種旅行業や後述する地域限定旅行業の登録件数が近年増えてきています。

登録要件は、第3種旅行業の業務範囲が比較的狭いことから、財産要件である基準資産額や営業保証金(または弁済業務保証金分担金)の額も、第2種旅行業よりもさらに低い額となっています。

登録要件
営業保証金
(弁済業務保証金分担金)
基準資産額 旅行業務取扱管理者の選任
第3種旅行業 300万円
(60万円)
300万円 必要

なお、営業保証金(または弁済業務保証金分担金)に記載されている金額は、前年の旅行業務における年間の取扱金額が2億円未満の場合のもので、これ以降、取引額に応じて加算されます。

旅行業務取扱管理者は、海外の受注型企画旅行や手配旅行を扱う場合は総合旅行業務取扱管理者試験、国内旅行のみを取り扱うのであれば総合または国内旅行業務取扱管理者試験の合格者から選任します(法第11条の2第6項)。

2-4.地域限定旅行業

地域限定旅行業は、第3種旅行業で解説した「隣接市町村等」の範囲で、募集型企画旅行、受注型企画旅行、手配旅行を取り扱うことができます。もちろん、海外旅行は扱えません(法施行規則第1条の3第4項)。

登録要件は、地域限定旅行業は取り扱える業務範囲が旅行業者のなかで最も狭いことから、財産要件である基準資産額や営業保証金(または弁済業務保証金分担金)の額も、一番低い額となっています。

登録要件
営業保証金
(弁済業務保証金分担金)
基準資産額 旅行業務取扱管理者の選任
地域限定旅行業 15万円
(3万円)
100万円 必要

なお、営業保証金(または弁済業務保証金分担金)に記載されている金額は、前年の旅行業務における年間の取扱金額が400万円未満の場合のもので、これ以降、取引額に応じて加算されます。

旅行業務取扱管理者は、総合、国内または地域限定旅行業務取扱管理者試験の合格者から選任します(法第11条の2第6項)。

2-5.旅行業者代理業

旅行業者代理業とは、これまでご案内してきた旅行業者が取り扱う旅行商品を、旅行業者に代理して旅行者に販売することができます。ただし、代理できる旅行業者は1社に限定されていて、所属旅行業者以外の旅行商品を扱うことはできません。

旅行業者代理業の場合、旅行の責任の主体が所属旅行会社となるため、基準資産額や営業保証金(または弁済業務保証金分担金)などの財務要件はありません。

登録要件
営業保証金
(弁済業務保証金分担金)
基準資産額 旅行業務取扱管理者の選任
旅行業代理業 不要 不要 必要

旅行業務取扱管理者は、取り扱う旅行商品に応じて、総合、国内または地域限定旅行業務取扱管理者試験の合格者から選任します(法第11条の2第6項)。

2-6.旅行サービス手配業

旅行サービス手配業は、いわゆる「ランドオペレーター」といわれる業務をおこなう登録区分です。

旅行サービス手配業の登録を受けると、外国を含む旅行業者の依頼を受けて、国内における以下のような業務を、報酬を得て取り扱うことができます(法第2条第6項法施行規則第1条)。

・運送または宿泊の手配

・全国通訳案内士および地域通訳案内士以外の有償によるガイドの手配

・免税店における物品販売の手配

これまでご案内してきた旅行業者や旅行業者代理業が、旅行者に対して旅行商品を提供するのに対して、旅行サービス手配業は、旅行業者の代わりに旅行者に必要なサービスの手配を行います。

旅行サービス手配業には、基準資産額や営業保証金(または弁済業務保証金分担金)などの財務要件はありません。

登録要件
営業保証金
(弁済業務保証金分担金)
基準資産額 旅行サービス手配業務取扱
管理者の選任
旅行サービス手配業 不要 不要 必要

旅行サービス手配業務取扱管理者には、総合または国内旅行業務取扱管理者試験の合格者のほか、所定の研修を修了したものから選任します(法第28条第5項)。

3.まとめ

旅行業の登録区分について、詳しく解説してみましたが、いかがだったでしょうか?

旅行業者は、区分によって取り扱える旅行商品や業務範囲が違いますし、取り扱える範囲が広がるほど、財務要件も厳しくなります。

第3種旅行業でご案内した「隣接市町村等」の区域は、地方だと意外と広い範囲を業務エリアにすることができるので、募集型企画旅行の内容によっては、第2種旅行業を取得するよりも良い場合もあります。

一方で、海外のツアーを取り扱いたいのであれば、財務要件をクリアして第1種旅行業登録をしなければいけません。

また、旅行業登録を行う前に、残りの登録区分である旅行業務代理業や旅行サービス手配業を取得して、まずは実績や経験を積むというやり方もあるかもしれません。

ぜひ、この記事を参考にして、ご自身にピッタリの登録区分を見つけてください。

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